レインブラントティーでは、日本全国の様々な産地の和紅茶を取り揃えています。ですが、いろいろな茶園や産地など聞きなれないものが多く、最初はどれを選んでよいか、悩んでしまうと思います。
そんなとき、和紅茶を選ぶ一つのポイントとして役に立つのが、「品種」です。今回は、和紅茶を茶葉の品種から選ぶ際のポイントと基準を分かりやすくまとめてみましたので、こちらを参考にして、ぜひ、自分だけの好みの和紅茶を見つけてみてください。
そもそも和紅茶の茶葉の品種とは?
和紅茶は、様々な品種で作られています。品種というのは、お米を例にとって考えると分かりやすく、「コシヒカリ」や「あきたこまち」のように、同じお米であっても品種の違いによって食味が異なり、私たちの好みも分かれます。
ちなみに、和紅茶の品種といっても、それは緑茶を含むお茶全般の品種のことを指していて、紅茶だけの品種が存在するわけではありません。これは、もともと同じお茶の樹から、製法の違いによって緑茶ができたり、紅茶ができたりするためです。一つの品種から、紅茶も緑茶も、どちらも作ることができる、というわけです。
また、ブレンドされずに単一の品種のみから作られたお茶は「品種茶」と呼ばれ、品種自体の個性を表現したものとして、近年特に注目を集めています。レインブラントティーが取り扱っているのも、ほとんどが単一の品種から作られた「品種茶」なのです。
実際には、同じ品種であっても、作り手によって紅茶の味や香りはそれぞれ異なりますが、その品種が持つ一定の特徴は、商品に少なからず表れています。ですから、まずは品種から香味の特徴をつかみ、そこからいろいろな茶葉を選んでみる、というのがおすすめです。
品種を大きく4つに分けてみよう
お茶の品種はとても多く、2019年時点で名前の付けられた品種は、119品種にのぼります。
そのほとんどが緑茶を作るための品種ですが、中には紅茶製造に向いた品種や、半発酵茶(烏龍茶)や釜炒り茶の製造に向いた品種などもあります。
日本で最も有名な品種といえば、やはり「やぶきた」ではないでしょうか。これは緑茶向きの品種で、日本全国の茶園の約7割を占めているともいわれています。日本では、この緑茶用のやぶきた種から、多くの和紅茶が作られています。
紅茶向きの品種として、特に有名なのが「べにふうき」です。味・香り・水色の三拍子が揃った、ボディ感のある強い紅茶が作られます。
一方で、「紅茶製造に向いた品種」と聞いたときに、では、「べにふうき」でなければ美味しい紅茶は作れないのか、と疑問に思うかもしれません。
結論からいうと、決してそういうわけではありません。確かに、緑茶用の品種は紅茶への加工が難しく、紅茶の香味を十分に引き出すための「発酵」が進みづらいものも多く、美味しい紅茶を作るのも決して簡単ではありません。
ですが、最近は作り手の技術が飛躍的に向上し、緑茶用品種であってもその特徴を活かした、とてもおいしい紅茶が作られてきています。
今回は、和紅茶の品種を、「緑茶品種」、「紅茶品種」、「釜炒り茶品種」、「その他の特徴のある品種」の4つに分けて、説明していきたいと思います。
その1-緑茶品種
緑茶品種の一つの特徴は、「旨み・甘味」の強さです。こうした「旨味・甘味」を重視した紅茶は世界にも珍しく、「和紅茶」という名が示すイメージに合致した日本独自の味わいが楽しめる紅茶といえます。
一方で、あえて「浅めの発酵」で抑えることで、より「香り」に特化した和紅茶も近年多くみられます。ボディ感はそこまで強くありませんが、黄金色の美しい水色に香り立つ花香が素晴らしく、ストレートで飲むのに適しています。
他にも、若草のようにグリニッシュな香りを持つものもあり、独特の緑の香りを楽しむことができるものもあり、これらも日本の緑茶品種ならではの味わいといえるでしょう。
(旨味・甘味をたのしめる品種)
・やぶきた ・ほくめい ・おくゆたか
(緑の香りを楽しめる品種)
・おくみどり ・さやまみどり ・たまみどり
(独自の芳香・花香を楽しめる品種)
・さやまかおり ・みやまかおり
その2-紅茶品種
今日、和紅茶が盛り上がりを見せている背景として、「べにふうき」から作られた、海外産の紅茶に負けないフルボディの紅茶が登場したことは、日本の紅茶史においても重要な出来事のひとつといえるでしょう。
紅茶品種の特徴は、十分な発酵に由来する味・香り・水色の三拍子を備えた、重厚なボディ感にあります。そのため、ミルクティーにして飲むのにも適しています。特に品質の高い紅茶は、完熟したフルーツのような芳醇な香りを持つものもあり、圧倒的な存在感を備えています。
また、最近では「プレミアムティーコンテスト2020」において「岩永製茶園 べにひかりファーストフラッシュ」が最高ランクの星5を獲得したのは、記憶に新しいところです。「べにひかり」は特有の「メントール・フレーバー」を呈する珍しい品種であり、特にここ数年で格段に評価が上がりつつある注目の品種です。
(渋みやボディ感が強く、芳醇な香りが楽しめる品種)
・べにふうき
(メントールのような爽やかな香味を呈する品種)
・べにひかり
その3-釜炒り茶品種
釜炒り茶品種は、それだけがもつ共通の特徴はありませんが、香り豊かな発酵茶向きの品種が多く、それぞれに独自のオリジナリティを求めることができます。
釜炒り茶品種として特筆すべきは、近年注目を集めている「いずみ」や「みなみさやか」といった、紅茶にした際に素晴らしい芳香を呈する品種です。香りを重視した製法で、多くは「強く発酵した紅茶」という個性を持つわけではありませんが、それを補って余りある素晴らしい贅沢な香りを楽しむことができます。
釜炒り茶品種自体は、九州地方で多く作られているのも特徴の一つで、近年、製茶技術が飛躍的に向上している九州地方は、大きな注目を集めています。
<卓越した芳香が楽しめる品種>
・いずみ ・みなみさやか
<九州地方に多く、個性的な香りが楽しめる品種>
・うんかい ・たかちほ ・みねかおり ・やまなみ
その4-その他の特徴のある品種
最後に、その他の特徴のある品種として分類するのは、「在来品種」と「香駿」です。
まず、「在来品種」というのは、いわゆる雑種のことを指し、これまで紹介してきた「品種茶」が流通する以前は、実生(種)で増やした在来種からお茶が作られていました。樹齢が100年を超えるものなどもあり、それぞれが千差万別の香味となりますが、大きな特徴として繊細な味わいのものが多い傾向にはあります。
「香駿」については、豊かな香気成分を備えており、どの特徴を発揚させるかで香味が変化するおもしろい品種です。紅茶にした際の仕上がりがとても優れており、作り手によって様々に異なった味わいを楽しむことができます。
他にも、様々な品種茶を組み合わせた「ブレンド和紅茶」などもあり、作り手やブレンダーが品種特性を理解した上でブレンドしているため、一般にはとても飲みやすいのが特徴です。市販されているものの中には、特徴を際立たせた、とても品質の高いブレンドティーも存在します。
品種の飲み比べは、和紅茶だけの楽しみ方
以上、一部ではありますが、和紅茶における「品種ごとの違い」をご説明しました。参考になりましたでしょうか。
先に述べましたが、品種はあくまで特徴の一面を表現したものに過ぎず、実際は作り手によって紅茶が呈する特徴は様々で、さらに言えば、香味の感じ方も人それぞれです。
それを踏まえた上で、品種の特徴を知り、品種から選ぶ面白さを知れば、和紅茶の奥深さをより実感できるように思います。また、同じ品種の茶葉を、茶園別に飲み比べてみるというのも和紅茶ならではの楽しみ方の一つだと思います。ぜひ、「品種」という観点から、皆様のお好きな和紅茶を選んでみてください。
コラム内でご紹介した和紅茶のご購入はコチラ
【お茶の千代乃園】やぶきた1st 2021
甘味が強くまろやかな口当たりで、とても飲みやすいため、日常茶向きのやぶきた紅茶。”癖”というものが見当たらず、渋みがほとんどなく甘味が前面に感じられる飲み口のため、良い意味で日本茶に近く、日本人には馴染み深い印象を与えます。
【牧之原山本園】べにふうき2nd 2021
非常に強い酸化発酵と香りを呈する、フルボディのべにふうき紅茶。非常に緻密な焙煎技術による仕上げで、べにふうきの持つ果実香を最大限に引き出している匠の逸品です。
【宮﨑茶房】みなみさやか1st 2021
クチナシのような甘やかな花香を湛える、素晴らしい香り。お湯を注いだ瞬間から豊かな香りが立ち昇り、蒸らしている間も楽しくさせてくれる逸品です。数ある和紅茶の中でも、香りの点で強い存在感を放つ紅茶です。
【岩永製茶園】岩永1号1st 2021
旨味・甘味が強く、在来品種で作られた繊細な味わいと香ばしさが特徴の紅茶。飲み終わった後の余韻にスッとするハーブのような、とても清涼感のある風味をもっており、淹れ立て時によりはっきりと感じることができます。