特徴による和紅茶の選び方(和紅茶グルーピング)

特徴による和紅茶の選び方(和紅茶グルーピング)
特徴による和紅茶の選び方

 近年、耳目を集めている和紅茶には、非常にたくさんの種類があります。いざ、和紅茶を買ってみようと思った時に、種類が多すぎてどれを選べば良いか分からない、といった声をよく耳にします。さらには、毎年新しい生産者が参入し、新しい紅茶を作っているため、その数は年を追うごとに増え続けているのが現状です。
 そこで、今回は和紅茶を選ぶ際の「ヒント」として和紅茶をグルーピングし、その“特徴”から和紅茶を選ぶ方法をご紹介していきたいと思います。

和紅茶の「バラエティ」の本質を探る

和紅茶の「バラエティ」の本質を探る

 まずは、和紅茶がどういったものか、その本質を復習してみたいと思います。和紅茶の性質を知るためには、「和紅茶の特徴」に焦点を当てる必要がありますが、和紅茶の特徴を決める要素には、どのようなものが挙げられるのでしょうか。

【和紅茶の特徴を決める要素】
●品種
●茶園による製造・加工方法
●栽培方法
●収穫シーズン(1番茶、2番茶、秋摘み)
●緯度・標高・気候・土壌条件、など

 ちなみに、「紅茶の製法」とともに最も紅茶の特徴に影響を与える「品種」で言えば、2019年時点で登録品種は119種にものぼり、さらに日本各地には名前の付けられていないヤマチャと呼ばれる「在来品種」が数多く残されています。
 2020年4月時点でレインブラントティーが扱っている品種は「17種」で、実際に世の中で流通している紅茶に用いられている品種の数でいっても、おそらく50に満たない程度だと思います。全ての品種が紅茶になっている訳ではないにしろ、上記に書いた「要素」を掛け算していくと、途方もない数の紅茶が出来上がることは、想像に難くないと思います。

 この、「圧倒的なバラエティの豊富さ」が、和紅茶の実際の正体と言っても、言い過ぎではありません。和紅茶は、まだまだ知らざれる秘密に満ち溢れており、その「奥深さ」が魅力であると同時に、「分かりにくさ」も必然的に内包している存在、と言えるのです。

品種による違いを比べてみよう

品種による違いを比べてみよう

 ここまでで、和紅茶には本当に数多くの種類が存在することを、簡単にご説明してきました。例えば、実際には同じ「やぶきた種」であっても、作られた茶園によって「全くの別物」と感じられるくらいに、仕上がった紅茶の味・香りには違いが生じるのです。
 分かりやすい例として、同じやぶきた種で作られた「【お茶のカジハラ】やぶきた1st 2019」と「【牧之原山本園】やぶきた2nd 2019」を比べてみたいと思います。
 下図は、それぞれの紅茶の水色と、特徴を示した「紅茶鑑定表」です。

【お茶のカジハラ】やぶきた1st 2019
【お茶のカジハラ】やぶきた1st 2019 紅茶鑑定表
【お茶のカジハラ】やぶきた1st 2019
【牧之原山本園】やぶきた2nd 2019
【牧之原山本園】やぶきた2nd 2019 紅茶鑑定表
【牧之原山本園】やぶきた2nd 2019

 実際に味わってみなければ、写真と紅茶鑑定表だけで違いを理解するのは難しいものがありますが、両者を飲み比べて明確に違うのは、「香り」です。「【お茶のカジハラ】やぶきた1st 2019」には、程よい焙煎の火香が感じられ、日本茶のような風情が楽しめる和紅茶です。「【牧之原山本園】やぶきた2nd 2019」には、菊にも似た素晴らしい花香を感じ取ることができ、中国茶のような繊細さと香りを楽しめる和紅茶といえます。

 何が言いたいのかと言えば、同じ「やぶきた」種であっても、作られた環境、収穫された時期、さらに製法によって、全くの別物であるかの如く、香味の違いが生じる、ということです。どの和紅茶を選ぼうかと悩んだときに、「品種」は間違いなく一つの目安にはなりますが、今の和紅茶は同じ品種でもここまでの守備範囲を持っているわけですから、品種だけではなかなか判断が難しいのです。
 ちなみに、上記の紅茶鑑定表を見れば、「やぶきた」種で同じような傾向(甘味・旨味が強く、渋みが弱い)が見られます。前出のコラムに、「品種による和紅茶の選び方」がありますが、品種から和紅茶の「おおまかな特徴」をつかむことができますので、ぜひそちらもご参照ください。

和紅茶の特徴を、専門店の「鑑定」からつかむ

和紅茶の特徴を誰かの「鑑定」からつかむ

 ここまでで、和紅茶はそのバラエティが非常に幅広く、特徴をつかむために「この点を見ればよい!」という具体的なものは、なかなか存在しないことをご説明してきました。品種や茶園などで、ある程度までは、味や香りの特徴をつかむことはできますが、その先にある特徴をつかもうと思っても、「実際に味わってみるまで分からない」というのが、一つの結論となります。
 よく考えれてみれば、紅茶全般の楽しみ方は、そういったものかもしれません。同じ「ダージリン」や「アッサム」であっても、近年は茶園別に細分化され、様々な特徴をもった「シングルオリジンティー」としてブランディングされています。紅茶は、「買ってみて、実際に淹れてみて、自分の好みに合うかどうかを楽しむ」といった一連の儀式のようなものが、楽しみ方の一つなのかもしれません。

 そこで、これは限定的な方法になってしまいますが、「誰かが査定してくれた紅茶鑑定表から特徴をつかむ」というやり方が、紅茶の味や香りの特徴をつかむのに簡単な方法、と言えるのかもしれません。必ずしもすべての和紅茶に詳しい鑑定表があるわけではありませんが、和紅茶を販売している専門店では、その店の専門家が和紅茶の特徴を分かりやすく説明してくれているはずです。まずはそれを参考にしましょう。
 その上で、そうした和紅茶の鑑定表や説明文から、できるだけ多くの情報を得るために、ここからは、レインブラントティーが作った「和紅茶のグルーピング表」を説明していきたいと思います。このグルーピング表を使って、今世の中にある和紅茶の特徴を探っていきたいと思います。

和紅茶の特徴をグルーピングしてみよう!

和紅茶グルーピング

 上図は、レインブラントティーが扱っている和紅茶を、それぞれの「特徴」ごとに分類したものです。こちらはあくまで「一例」であり、もっと細かい分類も、おおまかな分類も可能で、来年には全く異なるグルーピングをしているかもしれません。しかし、ここから「大きな和紅茶の特徴」を知ることができます。
 具体的には、レインブラントティーでは対面でお客様に和紅茶の特徴を説明する際、大きく以下のような分類で、説明を行っています。

【和紅茶グルーピング】
● A:「完熟した果実・ワイン系の香り」
● B:「花香」
● C:「緑の香り」
● D:「日常茶」
● E:「日本茶・火香・繊細な味わい」
● F:「釜炒り茶品種」
● G:「海外紅茶の特徴」
● H:「特徴のあるもの」

【完熟した果実・ワイン系の香り】
べにふうき品種に多い、果実やワインにも似た甘い香りをもつグループです。べにふうきの中でも最も品質の高いものの中には、マスカットのような鮮烈なフレーバーを有するものもあり、近年の和紅茶人気を牽引してきたグループでもあります。

【花香】
ジャスミンや水仙にも似た、花を彷彿とさせる香りを有するグループです。中国や台湾式の香気発揚の製法を取り入れることで、近年は特に素晴らしい「花香」をもった紅茶は、明らかにその数を増やしてきています。レインブラントティーが行った試飲販売では、Aグループを抜いて、最もお客様から選ばれたグループで、とても人気があります。

【緑の香り】
ダージリンのファーストフラッシュにも似た、緑茶感が残る味わいが特徴のグループです。和紅茶独特の「緑茶感」は、和食とも相性が良く、お茶漬けにしてご飯とのペアリングを楽しむこともできる、日本人にはとてもなじみ深く感じられる紅茶です。

【日常茶】
大きな特徴がない代わりに飲みやすく、紅茶が苦手な方や、毎日量をたくさん飲む方におすすめのグループです。日常茶として大事な点は、安くて、安心・安全であることですが、「奥八女琥珀」など、ワンランク上のバランス良い紅茶として楽しむことができるものもあります。

【日本茶・火香・繊細な味わい】
「旨み」を重視した紅茶で、香りは強くはありませんが、繊細な味わいが特徴のグループです。できれば、ゆっくりとくつろげる時間に、奥深い味わいを楽しんで頂きたい紅茶をラインナップしています。「味・旨味」を重視していますが、中にはほのかな焙煎香を楽しめる紅茶もあります。

【釜炒り茶品種】
九州地方に多い釜炒り茶品種は、繊細な味わいのものが多く、他の品種とは違った特徴が出やすいグループです。本来は、釜炒り茶品種といっても味や香りは様々なため、他のグループに分類可能ですが、現在は流通量がそこまで多くないため、1つのグループとしています。そこまで強い個性はないものの、通に好まれる奥深さがあります。

【海外紅茶の特徴】
海外産紅茶をイメージさせる特徴をもったグループです。具体的には、「甲斐製茶園 べにふうき1st」はヌワラエリヤのようなグリニッシュな爽快さを持ち、「お茶の千代乃園 べにふうき1st」などはスイートポテトにも似た穀物香がありアッサムをイメージさせ、ミルクティーにとてもよく合います。

【特徴のあるもの】
他グループに分類できず、他とは明らかに異なった特徴をもつグループです。具体的には、「ねじめ茶寮 べにひかり2nd」はピーククオリティのウバのようなメントール香を発し、「お茶のカジハラ いずみ2nd」はいくつにも重なった独特の甘い香りを持ち、飲む人やシーンによってどの香りを強く感じるかがその時々で変化する、面白い希少種です。

和紅茶を「特徴」から選ぶ

 いかがだったでしょうか。今回のテーマは、「特徴から和紅茶を選ぶ」ということで、専門店などが出している「鑑定表」や「商品説明」などから和紅茶の特徴をつかみ、自分の好みのものを選ぶのを助ける、「和紅茶グルーピング」をご紹介しました。
 もし自分が、「ダージリン・セカンドフラッシュ」のマスカテル・フレーバーのある紅茶が好みなら、Aグループの果実香のある和紅茶が合うかもしれません。中国茶を普段飲みなれている方なら、Bグループから入るのが良いかもしれません。逆に、同じ味の紅茶だと面白くないから、せっかく和紅茶を飲むならEグループが良いと思うかもしれません。

 楽しみ方は人それぞれで良いと思いますし、そんないろいろな嗜好をもつ「紅茶通」をうならせる品質の和紅茶が、実はまだまだたくさん隠されています。このコラムで最初に、和紅茶の本質は「分かりにくさ」だと書きました。同時に、だからこそ「多様で面白い」とも言えるのが、和紅茶の魅力だと思います。これからきっと、もっとたくさんの和紅茶が誕生し、私たちを楽しませてくれるはずです。
 終わりがない「和紅茶の旅」のドアを、皆さんも少し、開けてみてはいかがでしょうか。

 

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