牧之原山本園|茶園紹介

牧之原山本園|茶園紹介

基本情報


茶園名   牧之原山本園 SAMURAI teafarm
茶園主   山本 守日瑚
産 地   静岡県牧之原市
創 業   1869年(明治2年)
商品ブランド   和らぎ香り紅茶
栽培方法   無農薬栽培、減農薬栽培
受賞歴   【国産紅茶グランプリ2022 金賞】
【国産紅茶グランプリ2021 準グランプリ】
【国産紅茶グランプリ2020 準グランプリ
・一般審査員特別賞2位・等】
【国産紅茶グランプリ2019 準グランプリ】
【日本茶AWARD2018 ファインプロダクト賞】
【ふじのくに山のお茶100選 銘茶コンテスト2018 審査員特別賞】
【国産紅茶グランプリ2018 準グランプリ】
【国産紅茶グランプリ2017 準グランプリ】
【和紅茶の祭典2017 来場者の選ぶ紅茶 第1位】
紅茶用栽培品種   べにふうき、やぶきた、あさつゆ、あかね、等
 

茶園概要


〈生産者紹介〉




【山本 守日瑚 氏】
 静岡大学農学部を卒業後、2年の派米農業研修を経て就農。
 昭和21年に結成された、「勝間田開拓茶農業協同組合」の現組合長。
 もともと人の手の入っていない原野であった牧之原台地は、明治2年に徳川慶喜公の護衛を務めた幕臣氏族たちによって切り拓かれた。過酷を極めた開墾作業により造成された茶園は、幕臣子孫である山本守日瑚氏の代に至るまで脈々と継承され、現在5代目を数える。
 幕臣子孫から茶を作り続けているのは、牧之原山本園のみであり、由緒正しき本園のブランドは「SAMURAI teafarm」と名付けられ、牧之原の歴史を内包しながら今日まで維持発展し続けている。山本氏による紅茶は、「ふじのくに山のお茶100選」、「日本茶AWARD」、「国産紅茶グランプリ」など、数々の賞を受賞しており、毎年飛躍を遂げる和紅茶から目が離せない。既存の枠組みに縛られない、香り高い和紅茶の数々は、当時の幕臣氏族たちの開拓者精神を受け継いだ山本氏だからこそ作ることのできる、至高の逸品である。


〈生産地と取り組み〉




ー牧之原台地の開拓ー


 今日、日本有数の大茶産地である牧之原台地は、明治2年に徳川慶喜公の護衛を務めた幕臣氏族250名が入植した当時、何もない原野であった。
 山本家は、古くは西暦1500年頃から徳川家の御殿医を務めた、由緒ある家系で、幕末期には、第15代将軍である徳川慶喜公を護衛する精鋭隊の一員となった。
 明治維新後は、勝海舟や山岡鉄舟の尽力により、もともと未開の地であった牧之原に入植し、生活の糧を得るため、牧之原台地を開墾して茶の生産をすることとなった。当時、長い鎖国時代の終焉に伴い、貿易の門戸が海外に開かれたことで、茶は有望な商品作物として期待されていた。



 全くの原野であった牧之原の開拓は、大変な苦労を伴ったが、その後茶業は隆盛を極め、明治以降には輸出を中心に栄え、昭和8~9年頃には、紅茶作りも盛んに行われていた。しかし、紅茶輸入自由化後、紅茶の生産は徐々に衰退し、再び緑茶中心の生産に切り替わることとなる。
 山本家も、こうした激動の歴史の中、明治期の牧之原原野の開墾当初からその事業に従事し、自らの手で築き上げた茶園を、今日まで守り続けてきたのである。

ーべにふうきによる紅茶作りへの挑戦ー


 そんな中、山本氏の手によって2004年頃から紅茶用品種(べにふうき)の植樹が行われ、2009年頃から紅茶の生産・加工が可能となった。べにふうきを栽培し始めた頃は、まだ「和紅茶」という言葉も世間に浸透していなかった頃である。また、紅茶以外でも、「香り緑茶」の生産や、2017年より共同茶園で「みなみさやか」の栽培も開始するなど、「香り」を重視した茶の開発に果敢に挑み続けている。


〈生産へのこだわり〉




ー季節ごとに変わる紅茶の品質ー


牧之原では、茶の収穫シーズンは、4月最下旬から始まる「春摘み(ファーストフラッシュ)」、6月中旬から7月 最上旬の「夏摘み(セカンドフラッシュ)」、そして9月中旬の「秋摘み(オータムナル)」と、年に3回の収穫シーズンがある。
 シーズンにより、茶が育つ環境が異なるため、茶葉の内質的な成分が違ってくる。また、収穫後の製造工程における気温や湿度の違いも、最終的な紅茶の仕上がりに少なからぬ影響を与える。
 特に、カテキン量の多い夏の茶葉は、酸化発酵が進みやすく、紅茶特有の紅色も濃くなり、春に比べて渋みも十分に感じられる紅茶になる傾向がある。
 さらに言えば、日本では様々な品種茶が栽培されており、牧之原山本園で扱う「べにふうき」と「やぶきた」とでは、出来上がった紅茶の香味は、比べてみると全くの”別物”である。



 このように、国産紅茶もダージリンティーのように、各シーズンで様々なキャラクターの茶ができ上がり、その多様性を楽しむことができるが、品種茶を含めた多様性に関して言えば、実は、国産紅茶には海外を上回る豊富なバラエティが存在するのである。
 「茶園」「シーズン」「品種」などの切り口で、紅茶の味や香りを比較・判断することは、国産紅茶の奥深さを語る上で、欠かすことのできない側面のひとつであり、牧之原山本園はそのどの切り口においても、「違い」「品質の高さ」において明確な示唆を得られる茶園である。ぜひ、同じ「べにふうき」、同じ「やぶきた」でも、他の茶園やシーズンの違いでどのような変化があるか、飲み比べてみていただきたい。




ー芽揃いのいい茶園を作る難しさー


 さらに、紅茶の製造で一番大切な「萎凋工程」(葉をしおらせる工程)では、品種の特性と萎凋の仕方の工夫により、花香、果実香、蜜香、メンソールなどのハーブ香など、様々な香りが生まれる。
 そのような香りを狙って出すには、製造技術だけでなく、芽揃いのいい茶園を作ることが重要となる。芽の丈や熟度が揃っていて柔らかい茶葉は、萎凋、揉捻、発酵、乾燥のすべての製造工程が均一に効率よく進み、製造方法が正しければ、香り高い芳醇な味わいの紅茶となる。特に、べにふうきは芽揃いを安定させるのが難しい品種で、栽培技術の差による品質の差が生じやすく、それだけ扱いが難しい品種といえる。牧之原山本園では、芽揃いを均一化させることで、狙った香気成分を紅茶に表出させることが可能となるのである。


〈加工へのこだわり〉




ー打圧刺激による香気発揚ー


 茶葉が本来持つ「香り成分」を最大限に活かすため、ウーロン茶の製造工程からヒントを得た、香気発揚のメカニズムを紅茶に応用・実践している。
 「青殺」前の、茶葉がまだ生きている状態において、葉をしおらせる萎凋工程で水分欠乏だけでなく、撹拌による打圧刺激を与えることで、茶葉が自らの命を守るための防衛反応を発動し、その副産物として香りが生まれるのである。
 打圧刺激を与えるには、若すぎる芽はやわらか過ぎるため、刺激に耐えられない。 この場合、「出開き芽」が最上であり、こうした工程を経ることで芳醇な香気成分を蓄えた、最良の紅茶を作ることができる。




ー香りを活かす「焙煎」技術ー


 そして、もうひとつ牧之原山本園のこだわりの技術は、「焙煎」である。
 焙煎は、茶葉の中の成分を加熱により変化させ、ぶどうなどの果実様の甘味を引き出すことができる。
 例えば、品種「べにふうき」は、インド・アッサムの系統を継いだ「べにほまれ」を母親に持ち、インド・ダージリンからの導入種「枕Cd86」を父親に持つ、紅茶の特性を数多く引き継いだ日本独自の品種である。海外種の血統を継いでいるため、紅茶らしい渋みや水色、ボディ感を合わせ持ち、特に香気においては他の追随を許さない、フルーツや花にも似た芳醇な香気成分を保持している。
 この「べにふうき」を用いることで、萎凋と発酵において香り発揚に優れた、高品質のべにふうき紅茶ができるのだが、山本園では非常に緻密な「焙煎」の工程を加えることによって、べにふうきがもつ独自の香気を、さらにもう一段階、引き出すことに成功しているのである。
 栽培時から芽揃いを均一化させ、狙いをもって表出させた花や果実様の香気成分を、「焙煎」技術を使ってさらに増幅させることができるのが、「最高品質の紅茶」を生み出し続ける牧之原山本園の、匠の業に隠された秘密なのである。


ー山本氏の紅茶にかける想いー

ふわっと香る華やかな香りと、ふくよかで味わいの深い紅茶は、どうやって生まれるのでしょうか。
茶の樹を育て、葉を摘み、加工をして茶にすることは、家庭菜園でトマトをならすように誰にでも出来そうですが、人に感動を与えるような特別なものを作るとなると、そこには「ものづくりへのこだわりと情熱」が要りますね。

いいものをつくるには、それに関わるたくさんの要素を見つけること。
「ああしてみよう。こうしてみよう。」

そう考えるには、科学的な理論の裏付けや自分なりの研究、そして勘があります。
そして、そのたくさんの要素の掛け合わせで、また何万もの組み合わせがあるので、いいモノづくりは、まさにトライ&エラーの繰り返しなのです。なので、でどれだけ失敗したかが貴重な財産になります。

茶づくりは、自然環境の中で生きたものを扱うので、なおさら予想外のことが起こります。いまだにわからないことばかりですが、それが大変でもあり、また楽しくもあります。ねらいを持って製茶に没頭するときは、うまくいった時ほど幸せなことはありません。
「飽くなき挑戦」が私の茶づくりのモットーであり、飲んでくれる方の笑顔がモチベーションになっています。田舎者なので、茶のイベントで街に出て一泊もして家に帰ると、どっと疲れが来ますが、次の日の朝、茶畑に戻るとスッと気持ちが晴れてホッとするのはなぜでしょう。

やっぱり茶は自分の生きる場所だし、美味しい茶づくりが、神様から与えられたこの世の自分の使命だと思っています。
侍だったご先祖様が、縁あって茶に関り、5代目の自分がこうして茶を続けていれるのも、出会う人のご縁のお陰で自分が生かされているのでしょう。

出会う人を大切に、これからも一生涯美味しい茶を求めて、茶を作り続けていきたいと思います。

牧之原山本園 紅茶商品ラインナップ

【牧之原山本園】ほうじ焙煎棒紅茶べにふうき 2022
【牧之原山本園】ほうじ焙煎棒紅茶べにふうき

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