アッサムの原種が現存する地、三重県御浜町

アッサムの原種が現存する地、三重県御浜町

三重県御浜町、通称「尾呂志」

  2025年1月、三重県の御浜町を訪問しました。

  この地域は「尾呂志」とも呼ばれており、山間から吹き降ろす風「風伝おろし」が、尾呂志の知名の由来となっていると言われています。

  山間からゆっくりと山を越えて迫りくる雲海の様子は、とても見応えがある圧巻の風景です(ぜひ検索してみてください)。

  さらに、同地は世界遺産「熊野古道」が通り、1,200枚以上の棚田から形成される日本最大級の「丸山千枚田」も有り、とても風光明媚な土地となっています。

丸山千枚田

訪れたきっかけ、井上香織さんとの縁

  レインブラントティーがここを訪れたきっかけは、日本茶インストラクターの井上香織さんが思いを込めて形にしようとされていた故郷の紅茶を、自分たちも何かの形でサポートできないか、という思いからでした。

  井上さんは2024年12月に急逝され、突然のお別れとなりました。

  井上さんは、「一煎」というブランドで主に日本茶の普及活動をされておられ、レインブラントティーもここ数年、横浜のお茶イベントをいっしょに盛り上げてきた“お茶仲間”。太陽のように明るく、ハツラツで、我々のお茶の先輩であり姉御であり。
イベント出張の度にメッセージをくださったり、かつては大阪の催事場にもひょっこり応援に来てくださったりしたことも!
そこにいるだけで途端にホームの空気感に変えてしまうような、そんな方でした。

  井上さんは三重県御浜町で育ちましたが、生前、故郷の地に希少なアッサムの原種があるとお話されていて、昨年は「尾呂志アッサムティー」という商品名でアッサム原種を使った紅茶の販売に力を入れておられました。

  地元の方達と協力し合いながら、製茶工程でもいろいろなアドバイスをされていたそうです。

  井上さんが亡くなられた今、井上さんがやってこられたことを何かしらの形で継続していくことができないか、自分たちにもなにかできることを、という思いで今回「尾呂志アッサムティー」の生産者の方たちにコンタクトを取らせていただきました。

尾呂志に今も根付くアッサムの原種

  ここは明治10年(1877年)に多田元吉がアッサムから持ち帰った茶の種子が配布された地の一つなのですが、なんと今もアッサムの原種が管理され残っている土地です。

  尾呂志に残っている希少なアッサムの原種は、国産紅茶の歴史の上でもとても重要であり、また現地に足を運んでみて感じたのは、この風光明媚な土地とともに、御浜町というのはもっと脚光を浴びて良いたくさんの資源があるということでした。

  当時、多田元吉が日本全国7か所を選定し配布されたアッサム原種の中で、今も栽培地に残っているのは、この尾呂志の茶樹のみだと言われています。
茶樹はアッサムと中国種との交雑種らしく、山田彦三郎という人物が尾呂志の地でアッサムの原種を増やすことに成功しました。

  元吉が日本に持ち帰った茶の種子は、近年の和紅茶ブームの立役者ともいえる「べにふうき」などの優れた紅茶品種を生み出したオリジンであり、そのような貴重な遺伝子を未来に残していくことも、とても重要なことと言えるでしょう。

アッサム原種園

自分たちにできること

  現地の方が大切に管理されたこられた希少な茶葉や資源をもっと活かせるように、御浜町の魅力がもっと伝わるように、自分たちにも何かできることがあるはず。

  井上さんが繋いでくださったご縁を良い形で紡いでいけるよう、自分たちなりに考え、行動に変えていきたいと思っています。
ぜひ皆さんも、機会があればアッサムの原種が残る三重県の御浜町に足を運んでみてください。

アッサム原種園

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